数種のベリーが鮮やかに香る。それでいて、浮き足立たない安定した土台がある。ただし、安定した土壌、と表現できないのは、そこまでの複雑なものを汲み取る根の広がりを感じないからである。 「いただきます」 なんとも溌剌としている。嫌味がない。会話に花を咲かせる若者たちの側にある。そんなワインだ。 個性というより、普遍。 歳を重ね、個性が出れば、この柔軟性は失われるだろう。いつか、この透き通る薄さを懐古する日がやって来る。舌よりも喉で楽しんだ若かりし日々を、今日は苦笑いとともに思い出そう。 「ごちそうさまでした」

ジョベーゼ